スパイスで毛根を刺激する

トウガラシをはじめ、わさび、しょうが、にんにくなど、いわゆるスパイスと呼ばれるもののピリ辛の刺激は知覚神経を刺激し、発毛効果のあるIGF-1をふやします。

このピリ辛という感覚は、実は味覚ではありません。味覚とは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味で、舌の味蕾という味のセンサーで感じられます。

ピリ辛という感覚は、このような味覚とは異なり、弱い痛み、すなわち痛覚なのです。言い換えれば、ピリ辛の感覚を引き起こす食材は、知覚神経を刺激する作用を持つといえます。

知覚神経を刺激する、いわゆるスパイスは、紀元前の時代から珍重されてきました。薬も防腐剤もなかった時代には、スパイスは味つけのみならず、腐敗防止など健康維持にも役立つ機能性食品だったのです。

こうしたスパイスの健康効果の多くは、IGF‐1によってもたらされると考えられます。日本独特のスパイスである、日本わさびの鼻に抜けるようなツンとくる感覚も、知覚神経と嗅覚によるものです。

わさびの辛味成分は6‐MS芥子油で、すりおろしたわさびの鼻に抜けるツンとした香りの成分は、6‐MT芥子油と呼ばれるものです。西洋わさびの6‐MS芥子油の量は、日本わさびの10%ほどで、それほど辛味はありません。

その6‐MS芥子油は、カプサイシンと同様、知覚神経を刺激して、IGF‐1をふやす作用が確認されたので、日本わさび3.5gに含まれている6‐MS芥子油と、豆腐半丁に含まれる大旦イソフラボンを男女の男性型脱毛症12人に6ヵ月間とってもらい、育毛効果を検討しました。

その結果、9人(75%)に、育毛効果が認められました。頭頂部に明確な育毛効果が認められました。

いっぽう、6‐MT芥子油は、マウスにかがせると、嗅神経が刺激され、全身のIGF‐1がふえました。その影響を受けてか、海馬の神経細胞が再生し、認知機能が改善したのです。このことからも、6‐MT芥子油には、ヒトの認知機能も高める作用があることが期待できます。

さらに、6‐MT芥子油をアロマセラピーに使用すると、知覚神経が刺激され、IGF‐1は増加します。IGF‐1は鎮静効果があり、アロマセラピーによるリラックス感も、この恩恵によるものかもしれません。

もちろん、育毛効果も期待できます。ちなみに、アロマセラピーで使用される木いちごの香り成分であるラズベリーケトンにも知覚神経を刺激し、全身のIGF‐1をふやす作用があることがわかりました。

匂いをかぐだけでなく、直接塗布する方法も育毛には効果的です。ラズベリーケトンの溶液を頭部に5ヵ月間塗布した男性型脱毛症の30代男性は、ラズベリーケトン塗布により、頭頂部で増毛しているこがわかりました。